元旦の各紙社説を読む
毎日新聞
日本版「緑のニューディール」を
環境の先導で成長を図れ
「時代は大きく転換しようとしている。米国発の世界不況が明らかにしたのは、実は資源・エネルギーの大量消費を前提とする成長モデルの破綻である。世界はそれに代わる新しい成長モデルを求めている。」
そして、米国次期大統領の環境投資をパッケージにした「グリーン・ニューデール」と李明博韓国大統領の「グリーン・グロース戦略」を紹介する。
その上で、「私たちは日本もまた、日本版の「緑のニューディール」に踏み出すべきだと」主張する。
「政府資金を環境に集中投資して需要不足を穴埋めし、中長期的に環境産業と環境技術が日本の成長を先導する経済・社会システムをめざすべきだ」と。
具体的には、「化石燃料の消費と経済成長を切り離す。そのために、太陽光発電と次世代自動車を飛躍的に普及させよ」と提案する。
最後に、「環境投資を軸とする経済成長は可能であり、その図柄をどう描くかの国際協調が始まっている」「改めて早期の衆議院を解散し総選挙を行うよう求めたい。新たな民意を得た政権が、日本版「緑のニューディール」に丈高く取り組むことを切望する」とまとめている。
読売新聞
危機に欠かせぬ機動的対応
政治の態勢立て直しを
まず、「新自由主義の崩壊」と題して、世界金融危機と日本の経済の揺らぎを説明。それに対する対策として、「内需拡大に知恵絞れ」と題して輸出戦略の立て直しの必要性を指摘し、景気の底割れを防ぐために、内需拡大を急げと言う。そのための資金として、「眠れる資金」を掘り起こして活用せよ。
次に、「日米同盟の維持が重要」と題して、世界経済が混迷する中でも、日本の国際社会への関与、協力の在り方は、引き続き、見直しが必要だとし、アフガン本土の治安回復活動への自衛隊参加問題、北朝鮮問題、ソマリア沖の海賊対策などをあげて、「日本が信頼できる同盟国だと思わせるだけの能動的な外交・安全保障戦略でこたえていかなくてはならない」
そのためには、「党益より国益を」と題して、「政治の機動性を回復せよ」とし、「政治家も、国民も、世界と日本が険しい難所に差し掛かっているだということを、常に心しておきたい」と結んでいる。
朝日新聞
混迷の中で考える
人間主役に大きな絵を
東西の冷戦秩序が消滅して20年。グローバリゼーションの掛け声の下に、「新自由主義」の考え方に支えられた市場は、世界に広がった。その大破局。人間や社会の調和よりも、利益を稼ぎ出す市場そのものを大事にするシステムの一つの帰結である。
この間、日本では何が起きたか。戦後最長の好景気と史上最高水準の企業収益が実現。と同時に、貧富の差が拡大し、日本の安定をささえた分厚い中間層はなくなった。
以上のように日本の危機を説明し、いたずらに悲観論に陥ることなく、この危機を乗り越えていかなくてはならない。
この危機を克服するには、「大胆なビジョンと、それを実行する政治の力だ」「どんな国をつくっていくか。それは「環境大国」でも「教育大国」でも「福祉大国」ありうるだろう」「将来を見据えた国づくりに集中し、雇用も創出する。そうした、たくましい政治が要るのだ」と。
三紙の社説を要約して紹介した。各紙共通するのは、新自由主義、市場原理主義の生み出した世界金融危機と日本経済の揺らぎを説明し、その対策として、国内需要の喚起の必要性を言う。そして、それを実現するのは、政治の力だと政治への期待を語る。
読売新聞のみ「日米同盟の維持」の重要性を指摘している。私は、日本の外交・安全保障問題に対する、国の戦略の確立を強く期待する。政治の力は、国家の自立を確立することから生まれるし、日米同盟の発展も可能である。今こそ、「戦後レジュームからの脱却」が必要なのである。